2024.12.18

RTK測位の導入による
UAV測量の位置精度向上を解説します!

RTK(Real-Time Kinematic)測位は、UAV(無人航空機)測量の精度を大幅に向上させる技術です。RTKを活用することで、従来の測量方法に比べて、数センチメートル単位での高精度測定が可能となります。

UAVは、広範囲のデータ収集を迅速に行えるため、土木工事現場や山間地など広大な敷地での測量作業に非常に便利です。これにRTK測位を利用すれば、リアルタイムで位置情報を補正し、高精度な位置情報をもった写真データや点群データを取得することに繋がります。

RTK-UAV

そもそも精度とは何?

精度とは、測定値が真の値にどれだけ近いかを示す指標です。測量においては、位置の正確性が求められるため、精度は非常に重要な要素となります。

UAV測量では、精度を上げるためにRTK測位技術が広く利用されています。RTK測位技術を導入することで、衛星からの信号をリアルタイムで補正し、測定誤差を最小限に抑えることが可能です。これにより、地形や構造物の正確なデータを収集でき、設計や施工において重要な役割を果たすことができます。

精度を高めることは、測量の後に続く工程の効率化にも寄与します。正確なデータに基づく判断が行えるため、より良い結果を得るための基盤を築くのです。

UAV測量における位置精度とは

UAV測量における「位置精度」とは、ドローンで取得したデータ(例えば、地形や建物の点群データ)の位置情報が実際の地上位置や既知基準点とどれだけ一致しているかを示す指標です。

具体的には、ドローンが取得した位置データ(X、Y、Z座標)が実際の位置(既知の座標)に近いほどドローンで取得したデータの位置精度が良いという評価になります。
この精度は、測量業務の成果や信頼性に直結するため、非常に重要です。

UAV測量の位置精度に影響を与えるものとしては、GNSSの測位方法、UAV搭載のカメラやLiDARなどのセンサーの性能、環境要因が挙げられます。

位置精度の確認方法は?

位置精度」を検証するためには、地上に検証点を設置することが不可欠です。検証点とは、測量エリア内でその位置が既に精密に測定されている地上の既知点のことです。この検証点を使って、ドローン測量結果がどれほど正確であるかを確認します。

まず事前に地上で検証点を金属鋲などで設置し、精密な測量機器(例えば、トータルステーションや高精度GNSS)を使用してその位置(座標)を測定します。その位置に上空からでも視認できるような対空標識を設置します。
次にドローンが上空から写真測量またはレーザー測量を実施することで、対空標識の位置データを取得します。
そして、ドローン測量で得られたX、Y、Z座標を、検証点の既知の座標と比較し、その差異を評価します。

一般的に、RTKやPPK技術を使用した場合、位置精度はセンチメートル単位で達成されます。

公共測量において求められる精度は?

公共測量において求められる精度は、地域社会やインフラの整備において非常に重要です。特に、国や地方自治体が行う測量業務では、法律や規則に基づいた厳格な基準が設けられており、それに従った高い精度が要求されます。

公共測量におけるUAV(無人航空機)測量の精度について、作業規程の準則において以下のような基準が設けられています。

作成するオリジナルデータの位置精度は、点検を行う点(以下この章において「検証点」という。)の
位置座標と当該オリジナルデータのX、Y、Z成分の較差の許容範囲により、0.05メートル以内、
0.10メートル以内又は0.20メートル以内のいずれかを標準とする。
(第3章 UAV写真点群測量 第2節 作業計画  第411条2)

公共測量では、目的に応じて5cm~20cmほどの精度が求められていることが分かります。
ICT活用工事における出来形計測等、高い精度が求められるUAV測量を実施する際には、RTK測位など補正技術を使用することが理想となります。

また民間の測量においても、目的によりますが同等の基準で測量を実施することが基本となっています。

GNSS測位における補正技術の種類は?

GNSS(Global Navigation Satellite System)測位における補正技術にはいくつかの種類があります。RTKもその中の一つですが、これらの補正技術は、GNSS測位の精度を向上させるために使用され、特に誤差を減らすために役立ちます。代表的な補正技術には、RTK測位、ネットワーク型RTK法、PPKなどがあります。

単独測位とは

単独測位とは、補正技術を使用せずにGNSS受信機が単独で衛星からの信号を受信して位置情報を算出する方式を指します。一般的な携帯電話やカーナビなどの測位方式です。この方法では、通常の測位精度が5~20m程度になることが一般的です。

単独測位は、RTKなどの補正情報を使用しないため、誰でも簡単に測位ができてコストが低いという利点があります。しかし、測位精度には期待できないため、測量や建設業務など、正確な位置情報が求められる業務には、RTKや他の補正技術を併用することが望ましいと言えます。

RTK測位とは

RTK(リアルタイムキネマティック)測位は、GNSSを用いた高精度な位置測定技術の一つです。従来の単独測位では、測定精度にメートル単位の誤差が生じますが、RTK測位を使用することでこの誤差を数センチメートルにまで減少させることができます。

RTK測位は、既知の基準点上にGNSS受信機を固定することで、基準局を設置する必要があります。基準局の受信機からの情報を元に、UAV本体側のGNSS受信機の位置をリアルタイムで補正することが出来ます。この方法により迅速かつ高精度なデータ収集が可能になります。

特に、UAV測量においてRTKを利用することは、広範囲を効率的にスキャンできるため、建設や土木業界など、多様な分野での活用が進んでいます。高精度の位置情報は、プロジェクトの進行管理や安全対策において、非常に重要な要素です。

ネットワーク型RTK法とは

ネットワーク型RTK法は、複数の基準局からのデータが集約された位置補正情報を配信事業者からリアルタイムで受信して、位置情報の補正に使用する方法です。この方式では、現場ごとに基地局用のGNSS受信機を設置する必要はなく、広い範囲の測量を効率的に実施できる点が魅力です。

ただし、位置補正情報を配信事業者から受信するために、電話回線などのネットワークに常時接続している必要があります。回線が脆弱な地域においては、この方式を適用するのが困難と言えます。

UAV測量にRTK測位を活用するメリットは?

UAV測量RTK測位を活用するメリットは多岐にわたります。まず、最も大きな利点は、正確な自動航行が可能になり、測量の位置精度が向上する点です。RTK測位を用いることで、誤差を数センチメートルまで補正できるため、従来の方法に比べてはるかに正確なデータを取得できます。

次に、作業効率の向上です。定常的に補正データを受信することで、迅速かつ正確な測量が可能となり、現場での作業期間を大幅に短縮できます。これにより、コスト削減も期待できます。

さらに、UAVによる広範囲なデータ収集が同時に行えるため、僅かな時間で大規模なエリアを測量可能です。この特性は、大規模な建設プロジェクトやインフラ整備において特に効果を発揮します。

以上のように、UAV測量にRTK測位を取り入れることで、精度向上や効率的な作業が実現し、業務の信頼性が大きく向上します。

RTK測位による測量精度の向上

最大のメリットは、RTK測位技術を活用することで、誤差を数センチメートルまで縮めることが可能な点です。これにより、測量データの正確性が飛躍的に向上します。

特に、建設工事や土木工事においては、リアルタイムで位置情報を補正できることが大きな利点となります。例えば、工事中の段階でデータを即時に確認しながら進めることができ、計画と実施のズレを最小限に抑えることが可能です。

このように、RTKによる測量精度の向上は、各種工事現場にとって欠かせないものとなっています。

従来の測量方法との比較

従来のUAV測量と比較すると、RTKを用いた方法では、格段に位置精度が向上します。従来は、単独測位で取得した機体の位置情報に依存するため、誤差も生じやすいのが特徴です。

一方、RTK技術を搭載したUAVでは、リアルタイムで位置情報の補正を行うため、数センチメートル単位の高精度な測量が可能です。これは、構造物の正確な位置を把握する際に非常に重要です。

具体的な活用事例

具体的な活用事例として、土木工事現場が挙げられます。この現場では、広大な工事現場の測量を短期間で行う必要がありました。従来の方法では、時間と人手がかかるため、RTK測位を搭載したUAVを導入し測量を実施しました。

RTK測位技術を搭載したUAVを用いて空からデータを収集し、リアルタイムで位置情報を補正することで、標定点の設置作業削減など大幅な作業時間の短縮ができました。また数センチメートル単位の高精度測量が実現しました。その結果、現場での出来形確認や出来高の確認、進捗管理が効率化されました。

また、別の事例では災害復旧分野での活用が見られます。RTK測位によるUAV測量を使って、土砂崩れの状態を迅速に把握し、現地状況を正確に把握することで、設計や施工計画に活用されました。

災害復旧(UAV測量)

まとめ

UAV測量RTKを導入することで、UAV機体の位置精度を大幅に向上させることが可能になります。単独測位では、5~10m程度の誤差が生じますが、RTKを使うことで数cm単位の高精度な測定が実現します。

これにより、建設現場や土木工事において、より信頼できる測量データを迅速に取得できるようになります。特に、出来形計測や進捗管理において、リアルタイムで正確な地理空間情報を持つことは大変重要です。

また、RTK測位の導入によって得られる高精度な地理空間情報データは、作業の信頼性を高め、結果として時間やコストの削減にも寄与します。UAV測量とRTK測位技術の組み合わせは、今後の測量業界において欠かせない要素となります。